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2008.01.17

アンカー展に行ってきました

昨日は仕事が休みだったので、渋谷・Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中のアンカー展を見に行きました。19世紀スイスの自然主義の画家、アルベール・アンカーの作品展です。本国スイスでは大人気の画家だそうですが、日本ではほとんど知られていなくて、当然私もその存在すら知らなかった人物なんですけれど、まだこの展示が始まる前に電車のつり革広告でこの人の絵(2匹の子猫を抱いた少女の絵)を見て、一目で気に入って絶対見に行くと決めました。めちゃくちゃ私好みの絵なんですよ、写実的で柔らかなタッチのとても美しい絵なのです。

で、実際行ったのですが、すごく良かったです。好みの絵というのも大きいですが、なんといいますか、絵全体の雰囲気というか絵の中の世界がまたとても良いのです。故郷の村(スイスのインス村)の、特に子供、女性、老人たちの、何気ない日常の光景を描いたものが多いのですが、そこには、ゆったりとした時間の流れの中で、画家の目(=他人の目)を気にすることなく自意識というものを全く感じさせないほどに、自分(たち)だけの空間で自分(たち)だけの作業に没頭している人々の姿が描かれていて、その素朴ながら幸せそうな平和でのどかな光景に、見ていてなんとも心が温まり気持ちが安らぐのです。

絵そのものについてはすでに上で軽く述べたとおり。非常に細かくて丁寧な筆致で写真のようにリアルでありながら、同時に写真にはない絵ならではの柔らかな美しさや画家独自の陰影のつけ方がもたらす独特の雰囲気があって、どの絵も大変惹きつけられました。あのリアルさはすごいですね、人物の肌質や服・物の素材の質感がはっきり見て取れるのはもちろんのこと、頭を取り巻く後れ毛や目の粗いセーターの毛羽立ち、瓶の透明感、古い本の擦り切れた紙など、本当に細かな部分まできちんと描きこまれています。あまりにリアルなのでどういう風に色を置いたり筆を動かしたりしているのだろうとできるだけ近くに寄って見てみましたが、近くで見ても私のような初心者にはちょっとわからないほどに、筆の跡も色の重ね具合も絵に同化してそれそのものの痕跡が無くなっていました。

面白いのが、基本、人物を中心に大きく配した構図で(静物画を除く)、人物と必要な小道具は非常に丁寧にリアルに描かれているのですが、その背後の景色やメインじゃない小道具は結構ぼんやりデフォルメして書かれていてパースもかなり適当だったりすることです。それが、画家の気まぐれなのか、写実的な絵の中に埋め込んだ彼なりの何らかの自己表現なのかはわかりませんが。

いつも美術展に行っても図録は買わないのですが、今回は見る前から買うと決めていました。で、買ったのですが、やっぱり生とは違うんですよね、同じ二次元のものなのに、あんなにも生き生きと日常の一場面をそのまま切り取ったみたいだったものが、なんでこんなにもただの絵になってしまうのだろうと思うくらい薄っぺらくなってしまう。色の見え方も微妙に違うし、つぶれて見えない部分もある。これらは最初から印刷の限界としてわかっていたことなんだけど、一枚一枚食い入るように見てじっくり堪能してきたものだと、特に実物との違いが見えてしまうから・・・。元々そんなに絵に関心のない人間なので、絵なんて画集見ていれば充分だと思っていたのですが、生の方が良いということを今回つくづく感じました。何事も生ですね、本当。

グッズもいろいろ欲しくて、もう絵葉書などすべて買い揃えたいくらいでしたが、図録を買ったので我慢し(でも、絵葉書の方が本物の風合いが出ているような気がしたんだけど気のせいかも)、前から必要だったしおりだけ買いました。本当に良かったです、この展示。もうすぐ終わりなんですよね、もう一回行きたいなあ。このところ、後々まで余韻が残るほどに気に入った、自分にとって当たりの展示会が続いて、嬉しいです。

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