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2007.10.21

「魔笛」~2006ザルツブルグ音楽祭

先日母親の家に行った折に、ハイビジョンで放送された2006年のザルツブルグ音楽祭の「魔笛」を見ることができました。リッカルド・ムーティ指揮、われらがウィーン少年合唱団のメンバーが3人の童子を務めたあれです。

「魔笛」を見たのはこれで3バージョン目なんですけれど(何しろクラシック初心者)、演出がそれぞれ違うから普通に楽しめますね(実を言うと、自分、途中で飽きだしてぐずりだしましたが。母親がうんざりして「早くウィーン(少年合唱団)出てこないかなあ・・・」を繰り返していました)。最後、夜の女王とザラストロ軍団が、それぞれ光の世界闇の世界の存在として背中合わせに共存するような形で終わっていて、明と暗のコントラストが美しい舞台の構図が印象的でした。光が闇を打ち破って消し去るバージョン(こっちが本来なんですよね)より、こちらの方が個人的には好きです。

あと、大道具が、小学生が作ったものをドラえもんのビッグライトで大きくしたみたいな大雑把な作りでびっくりしたのですが、基本的には大道具をたくさん用意してこの世界を具体的にビジュアル化しているんだけど、その一方で、パパゲーノとタミーノの沈黙の修行のシーンなどは巨大な透明の箱を何個か舞台上に重ねておいてその上なり中なりで演じるという、前衛的な演出がなされていて、面白いような、変なような。

歌手に関しては、モノスタトス(ブルクハルト・ウルリッヒ)が安定して上手かった印象があります。よく通る澄んだ声というのではないんだけど、あたたかみのある美声で、役はアレですけど歌うと二枚目でした。母大絶賛のパパゲーノ役クリスティアン・ゲアハーヘルも良かった、なんかデートレフ・ロートの歌声に似ていたように思うのだけど、最近ロート・バージョンのパパゲーノ聞いていないから、何も言わないでおきます、言っているけど。ゲアハーヘルって、インシンク(アメリカのボーイズバンド)のクリスに似ているなあ、どうでもいいことですが。

そして、パミーナ役ゲニア・キューマイアーですね。全体的に彼女の線の細い歌声には若い女性らしい美しさがあって良かったのですが、白眉だったのが、タミーノが口をきいてくれなくてもう自分のことを好きではなくなったかと思い込んで歌うアリア。そのあまりにも繊細で悲しげな歌声に、思わずジーンとして目頭が熱くなりました(特に冒頭の部分)。なんて悲しそうに歌うんだろうと思いましたよ。声の美しさもさることながら、そこに込められた悲しみに心を動かされました。

お目当てのウィーン少年合唱団に関しては、第一の童子が、声変わり期に入っているのか、高音が苦しそうでしたが、技術的には上手で優雅で良かったです。声が出にくそうなのが本当にもったいなかった、もう少し前だったら、さぞかし良かっただろうなと思います。第二、第三の童子は、声が若干小さかったけれど、時々うっすら聞こえて来るのを聴くと、訓練された発声で丁寧に歌っていて、やっぱりウィーンの子だなと思いました。パミーナの自殺を止めようとするシーンで、「Sie kommt!」(って聴こえるんだけど、合っているのか自信なし)と第2ソプラノとアルトが連続して単独で歌う部分がちょっと物足りなかったかな。パミーナの自殺を止めるときに、3人の童子が3方向からパミーナに抱きついて止めていましたが、ちょっとキューマイアーがうらやまし・・・なんでもありません。3人とも緊張しながらも一生懸命にやっていて可愛かったです。来日した子が出るかなと思いましたが、覚えのない子たちだったので来日した子たちではないと思います(あくまで、多分)。

あとはそうですね、ザラストロ役のルネ・パーぺですが、正直なところ、個人的にはそれほど良さを感じませんでした。低音部分に、私の思うところのバスの良さが感じられなかったので。もっとこう、地を這うような、重厚な響きが欲しいです、個人的には。そういえば、なんかメイクが薬中っぽかったんですが、ザラストロ&弁者や僧侶たちが。何であんなメイクなのか。ついでに言うと、ザラストロ配下の平僧侶たちは白塗りに目の周りだけ黒いパンダメイクで、懐かしのキョンシーを思い出しました、ごく普通に歩いていましたが。ウィーン国立歌劇場合唱団の合唱、きれいで良かったです、ソプラノが特にきれいでした。

あと、夜の女王のディアナ・ダムラウ、パミーナ役同様、線の細い美しい声で、有名な復讐のアリアも、ちょっと珍しいところで息継ぎしていましたが、それ以外はとても良かったです。美人ですね、美人なんだけど、メイクがシンディ・ローパーっぽくて、見るたび、シンディ・ローパーのPVやら「グーニーズ」やらが頭をよぎるのがアレでしたが。

タミーノ役、ポール・グルーヴズは歌によって出来に若干差がありましたが、良いときはとても良かったです。すごく美しいテノールでした。

「魔笛」で好きなアリアに、タミーノとパミーナが二人で試練に立ち向かう前に、テノールとバスのコンビで歌われる武者(?)の歌があるんですけど、これがイマイチでした。テノールはやけに甲高く声を張り上げる一方で、バスはほとんど聞こえてこず、ハーモニーとしての美しさがなくて残念。うちの母親の解釈では「テノールはこれから売り出し中なので自分をアピールしている。バスは引退間際なのでもうそれほどやる気がない」そうですが、どうなんでしょうか、実際のところは。

これは前にも書いたけど、2000年のパリ・オペラ座(だったかな)での「魔笛」の武者の二重唱が本当に良くて、何度もビデオを巻き戻しては聴いたものです。テノールの美しさ、バスの重厚さ、その二人の絶妙なハモリ、全てが良かったです。それ以来、「魔笛」で一番好きなアリアになりました。テレビやCDなどで「魔笛」を新しく聴くとき、この歌は欠かせないチェックポイントなんですが、「魔笛」そのものをあまり数多く聴いていないため、パリ・オペラ座の「魔笛」クラスの歌にはまだお目にかかれていないです。

パパゲーナ役、イレーナ・ベスパロヴァイテは、かわいらしい若々しい声で魅力的でした。パパゲーナって、結構魅力的な歌声の人がやりますよね、たった1曲しか歌わないのがもったいないと思うことが多いような。

振付が日本人のせいか歌舞伎の長い髪をぐるんぐるんまわす舞を元にしたと思われる振付があったり、パパゲーノのお友達の鳥たちに扮したダンサーの動きが本当に鳥っぽかったり、ダンスにも印象に残る部分がありました。

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コメント

雪の子キノコ様こんばんは。
始めまして!!ウィーン少大好き人間です。
ウィーン少の記事に反応して楽しく読ませていただいています。
ザルツブルグ音楽祭の「魔笛」ハイビジョンで放映されたのですか?私はそれは見てないのですが、DVDが発売されてまして、それでは三人の童子役は2004年来日のシュリランガ・ヴィルト君(現音楽監督ヴィルト氏の息子さん)、2006年来日のオスカー・ギゲレ君、もう一人、第一の童子はわからないのですが、今年のブルックナーコアに来日ちょっと前まで在籍してた子ではないかと(今年のパンフレットのレコーディング風景のカイ君の隣りの子・・・確信はないですが、多分・・・ニグル君の記事の次のページです)
三人の童子はダブルキャストみたいで2006年のハイコアのケヴィン・アンナ君、ロベルト・マスナー君、ペーター・ヤン君の日もあったみたいですが(ウィーン少のHPではその三人の写真がありました。)私としてはこの三人が見たかったです。
というわけで、覚えのない子たちみたいとおっしゃっていたので、ついつい書き込んでしまいました。失礼いたしました。これからも楽しませていただきますので宜しくお願いいたします。

投稿: れもん | 2007.10.21 22:36

れもん様、始めまして、こんにちは。
コメントありがとうございます。

そして、三人の童子のご指摘ありがとうございました!シュリランガくんは、3番目の童子(髪の色の濃い、眼鏡をかけていない子)でしょうか?実を言うと、もしかしてシュリランガくんかな、と思ったときがあったのですが、違うようにも見えたので・・・。今手元にビデオがないので確認ができないですが、他の童子たちについても今度プログラムと照らし合わせてみます。適当なことを書いてしまってすみません。

それと、別キャスト情報もありがとうございました。結構来日組活躍しているんですね。まだ1年ちょっとしか経っていませんが、名前を見ると懐かしくなります。私もその3人バージョンも見たかったです。

本当に間違ったことを堂々書いてしまってすみませんでした。そして教えてくださってどうもありがとうございました。小さいブログではありますが、やっぱり間違った情報は載せたくないので、こうやって教えていただけると本当にありがたいです。こちらこそ、よろしくお願いします。最近ウィーンネタがなくてウィーンのことを書くことが減っていますし、こんなポカがありますが、また見に来ていただけたら嬉しいです。

投稿: 雪の子キノコ | 2007.10.22 09:34

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