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2006.05.01

「戦場のアリア」見ました(ネタばれあり)

なんだか知らないけど、今日は暑かったですね。この暑い中、駅から5分程度で行けるのに、炎天下(と言っていいですよね)40分歩き回ってやっと辿りついた恵比寿ガーデンシネマで、先週末公開のフランス・ドイツ・イギリスの合作映画「戦場のアリア」を見ました。ちょっと前にブログに書いた、第1次大戦下のフランスでクリスマス・イヴに起こった奇跡の休戦の実話を元にした映画です。

そうですね、期待しすぎたせいもあるかもしれないけど、感動要素満載に思える素材の割に、あまり心に響きませんでした。登場人物が多いためそれぞれの描写が浅くなっていてイマイチ各人に思い入れることが出来ないというのもありますが(ギョーム・カネ演じるフランス軍中尉が一番丁寧に描かれていたように思います。演じるカネも常に憂いを帯びた演技がとても良かった)、全体的な流れとか演出がね・・・。

一番気になったのが、クリスマス休戦に至るまでのところで、激戦地に投入された兵士たちの苦しみや敵国の兵士たちに対する憎悪がそれほど強調して描かれていないし(兄を殺されたスコットランド兵の強い敵愾心がむしろ場違いな感じに見えました)、クリスマス休戦直前もそれぞれの塹壕でとりたてて緊張感もなく普通にクリスマスを祝っているので、クリスマス休戦のシーンが、なんだか同じ飲み屋に居合わせたいくつかのグループが何かの拍子に意気投合して一緒に盛り上がっているみたいな感じに見えて、戦争のさなかに敵国の兵同士の間に芽生えた期間限定の友情の美しさと特に哀しさが軽くなってしまっているように思いました。

ヨーロッパ映画によくあるような、なんだかよくわからないけど妙にリアルに感じられる作りというわけでもなく、かと言って、ハリウッド大作によくあるような、ここぞという場面でのわざとらしいまでの盛り上げ演出もなく、なんだか全編えらく淡々としているので、なんだかよくわからないままに場の雰囲気に引っ張られて涙することもなかったです、個人的には。あれですね、BGMがあまり使われていなかった(多分)のが大きいかも。

逆に良かったのは、フランスメインで作られた映画にもかかわらず、ドイツ人もきちんと人間らしく描かれていることです。もちろん、フランスメインなので、気がつくと、フランスのフィールドで話が進んでいるというか、フランスがやっぱりいいところを取っていますが、ドイツ人にもだいぶ花を持たせていますし、フランス、ドイツ、スコットランドそれぞれが、平等に良くも悪くも描かれているのが、テーマがテーマだけに非常に好感をもてます。言語も、それぞれの国の人がきちんとそれぞれの言語でしゃべっているのも良いです、スコットランド人なんてきちんと訛りのきつい英語しゃべっているし。

俳優さんも文句なし。フランス軍中尉を演じたギョーム・カネが一番印象的だったけど、職務に厳格だけど誠実な人柄のドイツ軍中尉を演じたダニエル・ブリュールもとても良かったし、ダイアン・クルーガーはすごくきれいで落ち着いた雰囲気が素敵でした(でも、吹き替えシーン、口が合っていないように見えました、気のせいかもしれませんが)。「リトル・ダンサー」のゲイリー・ルイスも良かった、「リトル・ダンサー」の時には負けるけど(もう、あれは神だから、私にとっては)。

歌のシーンが思ったより少なかったのが残念。BGMとしては一切歌は使われていなかったし。アナの吹き替えを担当したナタリー・デッセー、柔らかで上品な歌声がダイアン・クルーガーにぴったりでした。でも、個人的にはデッセーはオペラ歌っている方がより彼女の良さが出るんじゃないかと聞いていて思いました。テノール歌手の吹き替えをしたロランド・ヴィラゾンはなんだかえらい迫力で・・。あたりのものを全てなぎ倒さんばかりの勢いでクリスマス・ソングを歌うのを聴いていてなんかプラシド・ドミンゴを思い出したんですが、パンフレットの説明に「師と仰ぐプラシド・ドミンゴがうんたらかんたら」と書かれていて、なんか納得。ダイアン・クルーガーが歌った「アヴェ・マリア」が聞いたことがないものだったので、誰が書いたのかと思ったら、この映画の音楽を担当しているフィリップ・ロンビみたいですね、エンド・ロールを必死に目で追って確認したものなので、正しいかどうかはわかりませんが。どうせならバッハ/グノーやカッチーニのアヴェマリアが聞きたかったとも思うけど、これはこれで結構美しい曲で悪くはないとも思いました。

それにしてもスコットランドの司祭(?)すごいな、この映画に出てくるどの職業軍人よりも、好戦的で攻撃的ですよ。その方面から苦情がこなかったのか、ちょっと気になりました。

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コメント

昨日、アゴタ・クリストフの3部作「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」を図書館で借りてきて、今は2冊目を読んでいます。1990年代にブームになった作家らしくて1995年には日本にもいらしたらしいのですが知らなくて。第二次大戦時のハンガリーが舞台の話。初心者さんの今回の話はヨーロッパ映画や本での戦争の描き方について勉強になる内容でしたわ。

投稿: ぽんた | 2006.05.03 15:05

ぽんたさん、こんばんは。
コメントありがとうございました。

クリストフの「悪童日記」って、双子の少年のお話ですよね。確かに以前はやっていましたね。自分も読んでみたいと思いつつ、まだ読んでいないです。クリストフが90年代半ばに来日していたとは知りませんでした。意外に若い作家さんだったんですね(若いって言っても、1935年生まれだけど・・・)。

投稿: 雪の子キノコ | 2006.05.04 23:13

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