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2004.09.29

ナタリー・デッセー(デセイ)のコンサート

27日、フランスのコロラトゥーラ・ソプラノのナタリー・デッセー(デセイ)の初来日コンサート(指揮:ルイ・ラングレ、管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団。日本公演2日目)を聞きに、東京オペラシティコンサートホールに行ってきました。クラシックは基本的には特に好きというわけではないので、少年合唱以外でコンサートに行くのはこれがまだ2回目です(幼少期を除けば)。そういうレベルの人間のコンサート・レポということで。

席は2階の向かって右側のB席だったんですけど、位置が1階席の1、2列目に相当する場所で舞台が近く(フルート奏者の息継ぎが聞こえるくらい)見えやすくて良かったです(右側の楽団員の姿が見えませんでしたが)。

デッセーのコンサートを聞きに行ったのにのっけからオーケストラオンリーでちょっと出鼻をくじかれましたが、でも有名な、自分も好きな曲だったので楽しめました、アレです、F1でシャンパンファイトのときにかかるアレ、ビゼーの「カルメン」組曲です。今まで聴いたことがないくらい(というほど聴いていませんが)速いテンポでしたが、たまに「ここはもう少しゆったり弾いてくれたほうが好みだな」とは思うことはあったけれど、全体として迫力があって良かったです。えらいスピードでも乱れないで揃っているのはさすがだと思いましたが、こういうこと言うのは失礼なのでしょうか。東京フィルは日本の楽団の中ではN響に次ぐと聞いたのですが、自分には上手いのか標準なのか下手なのかわからなかったです、去年聴きに行ったコンサートでバックを担当していたロイヤル・チェンバーズよりはずっと上手いと思いましたが(ただ、時々デッセーと上手く噛みあっていないように聞こえる時があったんですけど、私の間違いかも)。他に3曲ほど、オンリーで演奏がありましたが、デッセーに対する拍手との差があまりにもわかりやすくて・・・。

まあ、これはデッセーのリサイタルですから、それに何より、デッセーは本当に素晴らしかったですから。前半は黒の無地のシンプルなドレス、後半は赤地に着物の模様のような柄(に見えました)のイレギュラーヘムのドレスで、全曲裸足で登場、小柄で動きが軽やかでとても可愛らしい人でした。私の席から舞台の袖にあるドアがよく見えたのですが、一度、一旦舞台に出てきたデッセーが、何があったのか、身を翻してもう一度中に戻っていったことがあったのですが、その時の所作がふわっと優雅で少女っぽく可愛らしかったのが印象的でした。ニコニコしていて愛想良く、とても感じよかったです。

で、肝心の歌ですが、先ほど言ったように本当に素晴らしかったです。私がデッセーを最初に聴いたのは2000年にパリで上演された「魔笛」の「夜の女王のアリア」で(衛星放送でやっていたオペラで見ました)、演技に没頭しているように見えながら、細かな音が続く難しい部分を、難しさを感じさせないほどさらっと、でも正確に歌い上げていたのが特に記憶に残ったのですが、今回も、旋律の美しさよりも技巧の凄さで聴かせるようなコロラトゥーラ満載のフランスやイタリアのオペラのアリアを、少しの緊張感も抱かせることのない安定した歌唱で、あたかもオペラで実際に演じているかのように表現豊かに歌だけで演じ切っていました。

個人的には、音楽そのものを聞かせるというよりも、オペラにおける役柄の生の感情をそのままぶつけてくるような、泣き叫ぶように声を張り上げて歌うイタリア・オペラは苦手だし、コロラトゥーラやヴィブラートは表現に多少の幅を持たせる程度にあれば十分だと思っているので(ベルカントでしたっけ、あれが苦手ということです、つまり)、今回のオンリーベルカント系のプログラムは少しばかりきつかったですが、彼女の上品な(この人の声のポイントはまさにこの「品のよさ」にあると思います)美しい歌声と、基本的にヴィブラートをあまりつけないシンプルな歌い方のおかげで、それなりに楽しめました(でも、ベルカントの迫力ある歌声が好きな人には物足りなかったかもしれないですね)。そして、それだけに、ここぞという盛り上がりの部分の、圧倒的な迫力は素晴らしかったです、大きなオーケストラの音の中で、彼女の伸びのある美しい強い声が、そこだけスポットライトを浴びているかのように、強い存在感をもって浮かび上がってくる感じでした(前に行ったコンサートで諏訪内晶子のバイオリンを聞いたときもそんな感じでした、まわりの音と調和しながら別次元にいる感じ、上手くいえないけど)。

会場の観客の拍手は凄くて、ブラボーの嵐、プログラムが終了したあたりから1階席のお客さんの中に前に出てくる人が出てきて、アンコール曲が終わる度にどんどんその数は増えて、ほとんど民族大移動状態でした。どさくさにまぎれて握手したり物を渡したりする人も出ていました。最後は席を移動しなかった人も、2階席、3階席の人も、立って拍手状態。びっくりしました。個人的には、そういう部分も含めてすごく良いコンサートでした。

最後に、音楽以外のところで印象に残ったこと。フランス人の指揮者の人が、東京フィルをたてることを常に忘れなかったことです。曲が終わってまずデッセーがお辞儀をし、その後、指揮者と共にお辞儀をすべく指揮者に手を伸ばしているのに、指揮者はまず東京フィルやソロ伴奏をとった団員を観客に指し示すのです。おかげで毎回腕を真横に伸ばしたまま、しばらくデッセーが待たされるのがちょっと気になりましたが、指揮者の気遣いは日本人として嬉しかったです。

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